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最高裁判所第二小法廷 昭和26年(あ)4382号 決定 1953年5月29日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人銭坂喜雄の上告趣意第一点について

醪は必ずしも濁酒のように酒税法六条に規定する原料によって製造するとは限らないし、また醪は発酵前のものをも含むのであるから、これを用途、目的の差違のみによって区別すべきものとした原判決の見解は酒税法の解釈として当を得ないことは所論のとおりである。しかしながら原審は第一審が証拠に基き醪と認定したことを肯定して控訴趣意の一審判決理由にくい違いのあるとの主張を斥けているのであるから、濁酒であるとの前提に立ち原判決を非難する論旨は結局事実誤認の主張に帰し刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。

同第二点第三点は訴訟法違反の主張であり(第三点所論証拠の標目を示す必要のないことは昭和二四年新(れ)第一七八号同二六年三月九日第二小法廷判決、昭和二五年(あ)第四三六号同二六年三月二二日第一小法廷判決の示すところである)同第四点は量刑不当の主張であっていづれも刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。

また記録を精査しても本件に同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条三八六条一項三号により主文のとおり決定する。

この決定は、裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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